当ブログはJ-WAVEの「GROOVE LINE」内でピストン西沢氏にごく一瞬紹介されました。まぁ素敵。


by travelers-high
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波乱

①回答
「あの・・・、断っていい?」
ビルの二階にある照明の暗い居酒屋のカウンターで、その女は言い辛そうに曖昧な笑みを浮かべながらそう言った。その唐突で短い言葉が、二週間前に俺が放った「付き合って欲しい」という告白に対する判決であることは、ワインを飲んでいた俺にも瞬時に理解出来た。疑問形であったので、仮に俺が「だめだ」と言った場合は一体どんな事態になるのかという疑問は残されたが、ひとまず俺はその判決を真摯に受け止めざるをえなかった。恋の終わった瞬間だった。その言葉を聞く直前まで俺の脳内では、「好きな女と飲んでいる」という状況を「理由」に、エンドルフィンやら諸々の快楽物質が景気良くドバドバ出ていたが、その直後には快楽物質を放出していたパイプのバルブが全て締められていた。俺は確かにバルブを閉の方に回転させるその「キュッキュッ」という不愉快な音を聞いた。

②提案
「理由が聞きたかったら話すよ」
次にその女はそんな詩を吐いてきたが、俺はもう結果だけで十分お腹一杯であり、また世の中にある「理由」とか「ワケ」とか「動機」などと呼ばれているもののくだらなさ、あまりの意味の無さにウンザリしていた為、「理由なんか聞きたくないよ」と男の子らしく言い切った。しかし、嫌味のつもりで付け加えた「H(女の名前)が話したいんなら話せばぁ?」という俺の言葉に女は反応。俺をフッたその「理由」とやらを披露し始めた。要約すると「他に好きな男がいるから」というものだ。そのあまりに平凡な、何の面白みも無い、極めて単純でありきたりな「理由」を理由に、俺はフラれたのだ。やはり何も聞かないほうが良かった、だから聞きたくなかったんだ。俺の失恋もまた、まったくもって実にありきたりなつまらないストーリーであることが決定された。結局自分が話したかっただけじゃねえか。つーか、そんな理由だったら告白から判決まで二週間も時間いらねえだろ。即答しろよ、即答。

③失言
「AZU君は面白いから大丈夫だよ」
何何nani?何が面白くて何が大丈夫なの?面白いからどう大丈夫?面白い?大丈夫?面白いから大丈夫なのは芸人だけだろ?俺は芸人か?道化か?俺は少しも大丈夫じゃねえぞ?なぁ?おい?何言ってんだ?アンタ何言ってんだよぉ!!ざけんじゃねぇぇ!!!

④状況
次の瞬間、俺は弾かれたように席を立つとカウンターを飛び越えて厨房に侵入、血走った眼で店員を威嚇しながらまな板の上に置かれている出刃包丁をおもむろに握り締め、返す刀で今度はカウンターの上に仁王立ち、そして「俺の血は何色だぁぁー!!!」と叫びながら切腹して果てる事も出来たが、店への迷惑も考えてやめておいた。
その後二人でワインのハーフボトルを飲み切るまで色々話したが、俺は自己愛が強い為、その女の事は本気で好きだったが、フラれているのにそれでも見苦しく食い下がる自分の姿なぞ想像出来なかったので、今後はもう偶然の場合を除いて二度と会わないで済むような方向で話をした。そりゃ未練もあったさ。ふん。

⑤帰結
帰りは女を送らなかった。俺は愛車で来ていたが「送れない」とキッパリ言った。多少酒を飲んではいたが、運転に支障をきたすほどでもなかった、一緒にいると余計苦しくて辛くて少しでも早く一人になりたかったのが「理由」だ。
帰りの車の中、小学生の頃は大空を飛ぶパイロットになりたかった事を思い出した。そしてそんなものにはなれないって事を通知表が何度も教えてくれた。

南国MJ市にも寒い冬が来た。
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by travelers-high | 2005-12-04 18:57 | よれよれ日記