二月の夢(2)
2006年 02月 11日
これ、つけるようになって調子いいんですよ。
初めてこの店に来たのが八年前、俺がまだ二十代だった頃の話だが、初めて飲む古泡盛の香りに魅せられた俺は飲み過ぎてひっくり返っちまった、その時優しく介抱してくれて、その上介抱するフリをして便所で俺のカマを掘ろうとしたのがここのマスターだ。つまりこのマスターとの付き合いも八年ということになる。
「これ、つけるようになって調子いいんですよ。」
頼んでもいないのに勝手にネックレスを外すと誇らしげに俺の前でそのネックレスをブラブラさせた、
「これ、ゲルマニウムが入ってるの、なんだかね、着けてるだけで血がサラサラになるんですよ、それでね、代謝が良くなって脂肪が燃焼するんですよ。」
俺はロックグラス越しに、まるで脂肪が燃焼するのをその目で確かめたかのように通販の売り文句を並べ立てるこのマスターと、その中途半端なスポーツ感のあるぞんざいなデザインが施された通販のネックレスを交互に眺めた。ゲルマニウムか、ニウムと最後に付く金属はどうも好きになれない、ウラニウム、プルトニウムなんか原爆の材料だ、アルミニウムはアルツハイマー症の原因になるそうじゃないか、ニウムと聞くとぞっとするんだ、俺は、そしてこいつはこないだまで脂肪が溶ける茶を飲んでいたし、その前は脳が活性化する酢を飲んでいた、つまりこのマスターは頭が良くて痩せていて、その上で血がサラサラしているんだろうが、暗い店の照明で見ても分かる程顔色が悪く不健康に太っており、脳が活性化した影響だろうか、キリスト教を日本に伝えた宣教師のようなハゲだ。どんな人間なんだ、こいつは、いつもそう思う、いや、そう思う為に此処に来ているのかも知れない。
初めてこの店に来たのが八年前、俺がまだ二十代だった頃の話だが、初めて飲む古泡盛の香りに魅せられた俺は飲み過ぎてひっくり返っちまった、その時優しく介抱してくれて、その上介抱するフリをして便所で俺のカマを掘ろうとしたのがここのマスターだ。つまりこのマスターとの付き合いも八年ということになる。
「これ、つけるようになって調子いいんですよ。」
頼んでもいないのに勝手にネックレスを外すと誇らしげに俺の前でそのネックレスをブラブラさせた、
「これ、ゲルマニウムが入ってるの、なんだかね、着けてるだけで血がサラサラになるんですよ、それでね、代謝が良くなって脂肪が燃焼するんですよ。」
俺はロックグラス越しに、まるで脂肪が燃焼するのをその目で確かめたかのように通販の売り文句を並べ立てるこのマスターと、その中途半端なスポーツ感のあるぞんざいなデザインが施された通販のネックレスを交互に眺めた。ゲルマニウムか、ニウムと最後に付く金属はどうも好きになれない、ウラニウム、プルトニウムなんか原爆の材料だ、アルミニウムはアルツハイマー症の原因になるそうじゃないか、ニウムと聞くとぞっとするんだ、俺は、そしてこいつはこないだまで脂肪が溶ける茶を飲んでいたし、その前は脳が活性化する酢を飲んでいた、つまりこのマスターは頭が良くて痩せていて、その上で血がサラサラしているんだろうが、暗い店の照明で見ても分かる程顔色が悪く不健康に太っており、脳が活性化した影響だろうか、キリスト教を日本に伝えた宣教師のようなハゲだ。どんな人間なんだ、こいつは、いつもそう思う、いや、そう思う為に此処に来ているのかも知れない。
by travelers-high
| 2006-02-11 20:44
| 幻想絵巻