当ブログはJ-WAVEの「GROOVE LINE」内でピストン西沢氏にごく一瞬紹介されました。まぁ素敵。


by travelers-high
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狂妻家というもの

「私は妻に狂信的なんです。」

会社のつまらない飲み会なんかで三次会に誘われた時に、私はこんな台詞を吐いてその誘いを断ることにしている。ギリギリ終電に間に合うタイミングで言うと説得力があるようで、この台詞を吐かれた同僚なんかは急に私に対して興味を失うようだ、あっそ~、ってな感じのサディスティックに乾燥した視線で俺を見つめてくれる。一応、私は社内で愛妻家という有難いキャラクターを頂いている、社内と言うほどの規模ではないかもしれない、しがない工場の私はしがない工員である。先ごろ噴火のように大規模なリコールで社会的にかなり叩かれた軍閥系のさえない自動車会社の下請けで、主にエンジン内部の駆動系の部品を生産しているのが弊社である。二交代のさえない会社の飲み会がさえないのはある意味仕方が無いという側面もある、確かに、さえない、議題は決まって、パチンコ、野球、風俗、あと社会情勢、決まって半島の北を侮蔑する内容だ、みんな揃ってTVで聞いたような事をオウムみたいに上手に喋る。二次会までと決めている、私はそれでさえない飲み会から失礼すると決めている、二次会までなら私は彼らのお話に上手に相槌を打って差し上げる事が出来る。私はさえない工場のさえない工員の中でも相当にさえない部類だが、妻に狂信的なのは誘いを断る口実なんかではなくて、事実なんである、私は妻が好きだ、愛妻家などという生やさしい焼きたてのクレープのような香りを発生させる言語では到底表現できない程に妻が好きだ。「変態」とでも呼ぶのだろうか、一般に世間様と言われるものには、私は。
アメリカ人の夫が妻に、
「私のことどれくらい好き?」
と聞かれれば、夫は自分の手を一杯に広げて、
「こ~んなにさ。」
とか、言うかもしれない
私はそんなもんじゃない、私なら多分妻に「私のことどれくらい好き?」などと質問をされたら身近にある照明を利き腕の手刀で叩き割り、ガラスの刺さった指で純白のシーツに血文字で、
「こ~んなにさ。」
と書くだろう。そんなに好きなのだ。
しかし幸いなことに私はまだ血文字を書いたことが無い、理由は簡単だ、妻はそんな質問などしないからだ。私の働く工場はかなりさえないが、私の妻は相当にそっけないのだ。朝ごはんがふりかけと冷飯だけのようなそっけなさ、それが妻だ。道を歩いていると、まずそっけなさが前から歩いてくる、その後に妻が現れる、そんな具合のそっけなさだ。ま、それでも実際に朝の食卓に冷飯がのぼるなんてことはさすがにありはしない、なぜなら朝食を作るのは私だからだ。
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by travelers-high | 2006-07-24 21:40 | 幻想絵巻