当ブログはJ-WAVEの「GROOVE LINE」内でピストン西沢氏にごく一瞬紹介されました。まぁ素敵。


by travelers-high
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海と私(2)

揺れと船酔いでフラフラとゾンビのような足取りになった俺は便所の個室から出ると洗面台に近寄り、備え付けられている鏡で自分の顔を確認した、血の気という血の気を全て失っている俺の顔色は実に不気味だ、キョンシーに少し似ていた。
あ~、もう一秒も立っていたくない、重力に逆らいたくない、寝よう、すぐ寝よう。そう決心した俺はヘロヘロしたステップで便所から出ると何人かの人にぶつかったりフガフガとあやまったりしながら二等室の寝場所に倒れこんだ。二等室というのはいくつかある部屋のグレードの中でも最低の等級にあたる部屋である、部屋のシステムは大部屋に雑魚寝という途上国スタイルだ。こういった部屋に集まる人達というのは実に面白い、今日俺の正面に寝る夫婦は2~4歳くらいの子供を二人連れていて、おかんはその世話で随分と神経質になっている、というかおかん、何故着物を着ている?そのおかんは時代劇で町の庶民が日常的に着ていそうな紺の和服をこの二等室で着ているのだ、ここは江戸でもなけりゃ陸でも無いのだよおかん、だいたいおかんそれで寝るのか?かなり浮いてるぞ、この部屋で。一方おとんは麻製のパンツを穿いたりしてなんかすごくユルそうな人だし、なんの夫婦なんだろ?とか、そんな感じでだいたい濃い人が二等には集まってくるのである。ちなみに隣はオーバー70のじいさんばあさんが7~8人ダマになってなにやら酒など飲んでいるようだ、熟年スワッピングツアーだろうか?なんなんだろう、この特異なキャラクター達は、話題の中心は模型飛行機の浮力についてだ。シュールだ、全てがシュールだ、もうだめだ。
二等室という亜空間で余計に気持ち悪くなった俺は頭から毛布をかぶり無理に寝ようと眼をきつく閉じた。

ご~ん、ご~ん。

船が鳴いているなぁ、とんだタイタニックに乗ったもんだ。俺はいつしか夢を見ていた。
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by travelers-high | 2006-11-04 21:25 | 幻想絵巻