当ブログはJ-WAVEの「GROOVE LINE」内でピストン西沢氏にごく一瞬紹介されました。まぁ素敵。


by travelers-high
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地下鉄東部五十嵐線

人がまばらに歩く深夜の地下街を全力で走る俺の前に、地下鉄東部五十嵐線藤代駅の自動改札が迫る。

切符を。買わなきゃ。怒られる。

生来の生真面目さが一瞬だけ躊躇させたが、俺は思い切り良く、文字通り自動で稼動するホームへのゲートをないがしろに突破することにした。
両開きの座布団のようなゲートに飛び蹴りを放って駅の内部に躍り出る。瞬間、ヴー。プログラムに忠実な機械がクイズの不正解のような音をさせ、駅員にホームへの侵入者の存在を知らせた。ああ、こりゃ犯罪だ。今現在、俺は人を追っているが、これからは人に追われる立場なのだ。
あ、おい。
改札の駅員が短く叫ぶ。
つけとけ。
俺も短く叫ぶ。

つけの効く地下鉄があるかどうかは知らないが、多少の利子なら払うくらいの覚悟はある、今はそれどころじゃない。俺は追っているのだ。つけの効かない人間を。

走らなければ、恋が終わる。
俺は破裂しそうな心臓を胸に抱えながらもつれる足を必死で回転させた。
あの子が乗るはずの終電まで、あと、あと、何秒か。
間に合え、間に合え。
ぷるるるるるる、電車のドアを閉める音がレールを挟んだホームの反対側から響いている。こんちくしょう、こんちくしょう。履き潰したナイキのエアフォースが今さらながら爆発する勢いで俺は階段を駆け上がった。
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by travelers-high | 2007-09-27 23:27 | 幻想絵巻