当ブログはJ-WAVEの「GROOVE LINE」内でピストン西沢氏にごく一瞬紹介されました。まぁ素敵。


by travelers-high
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島へ(1)

お客様の中にぃぃぃ!!
お医者さまはぁぁぁ!!
いらっしゃいませんかぁぁぁぁ!!

中年の客室乗務員が発する野太い絶叫が、国産プロペラ機による頼りない爆音を切り裂くかのように、狭い機内の中を貫いた。
彼女の言う「お客様」の数はそれ程多いわけではない、この飛行機は南国の地方都市から離島へ人と荷物を運ぶ為に細々と運行されている貧乏路線、乗客の中心は当然島民である。島には診療所と歯医者が一軒づつあるだけなので、この機内にいわゆる「お医者さま」が乗っている可能性はほぼ、ゼロと言っていいのだろう。
この中年の客室乗務員もそんな事情はわかっているはずなのだが、応援団のような声でここにいるはずもない医者を呼んだのは、きっといつかは言ってみたいセリフだったからなのではないのだろうか。

ちなみに上空1万メートルで青い顔をしてブッ倒れたのはこの私である。チェックイン直前に見送りの仲間から景気づけにとアフガン産の混ぜ物が入ったテキーラを飲まされ、離陸直前にその混ぜ物が効き始め、1万メートル直前でそいつがスパークしたという経緯だ。飛行機は空高く飛んだが、自分は精神的な古傷から再び血飛沫が上がったという笑えない状況なのである。

言うなれば単なるバッドトリップだが、その辺りの事情を知らない人から見れば、不意に便所に立ち上がった人がいきなり卒倒したように映っているのだろう。客観的にはいわゆる急患だ、大変な事態、島へ行く飛行機では初めてのトラブルなのではないだろうか。
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by travelers-high | 2007-11-08 20:27 | 幻想絵巻