当ブログはJ-WAVEの「GROOVE LINE」内でピストン西沢氏にごく一瞬紹介されました。まぁ素敵。


by travelers-high
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島へ(6)

「ああ、は、まぁ、晩飯。そっすね、いいですけど、恩人・・・さんですしね。にゃ・・・、その・・・、あ・・・・、あ、俺、むろです。名前、大垣 室。おおがきしつと書いて、おおがきむろです。」
「知ってる、さっき免許見た。引取りの書類作るとき。」
「め・・・、ま、仕方ないか・・・。まー、じゃ、自己紹介も終わったとこでメシ行きますか。」

俺はまだ少しフラつく頭を右手で支えながら立ち上がった。コンクリの冷たい床をベッドにしていたので体中の関節がギシギシときしむ。

飛行場と呼ぶにはあまりに簡単な建物から出ると、夏の初めに吹く生ぬるい夕暮れの風が二人の間を通り抜けた。
「で、末森さん。助けてくれたみたいで、どーも、アリガトーゴザイマス。」
俺は深々と頭を下げた。
「みゆきでいいよ。」
それだけ言うと、みゆきはひひひと笑った。

道路は空港の施設から駐車場を隔てて走っている。駐車場というか、耕作放棄地というか、とにかく手入れのされていない公民館の広場のような駐車スペースを二人並んで歩いた。俺はバックパック一つだが、みゆきも小さな肩掛けのスポーツバッグひとつという軽装である。身軽なもんだ。
止っている車は数えるほどで、戦前に製作されたような朽ち果てた看板が広場の隅に突き刺さっていた。剥げたペンキのそれを良く見ると、ようこそ金華島へ、と書いてあるようだ。
きんかじま、母の故郷である。
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by travelers-high | 2007-11-28 21:37 | 幻想絵巻