当ブログはJ-WAVEの「GROOVE LINE」内でピストン西沢氏にごく一瞬紹介されました。まぁ素敵。


by travelers-high
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島へ(8)

ふと立ち止まったみゆきは、じっとその緑色のタクシーを見つめつぶやいた。
「あのタクシー・・・。」
そう言われてよく見ると、夕日を正面から受けて緑色の車体をギラギラと反射させるそのタクシーは、揺れていた。
そう、ユサユサと揺れているのである。
中にいる何者かが激しい運動しているのだろう。
俺は前を向いて黙っていた。みゆきも前を向いて黙っていた。
夕日に照らされ茜色に染まった揺れるタクシーを二人無言で眺めた。

みゆきは右手を「敬礼」の状態にして影を作り、顔面から西日のまぶしさを散らしながらこちらを向くと、そのフルーティーな顔をスパイシーにゆがめ言った。
「なんか嫌~な予感しない?」
みゆきは小柄な女だ。後頭部に張り付くようなヘンプのニットキャップをかぶった頭がちょうど俺のあごの辺りにある。
俺の身長は松竹梅で言えば竹、酒で言えば発泡酒位の高さなので、その俺のあごなら150cmくらいだろうか。
グレープフルーツのような丸顔には、日本人離れした、というかどっかから輸入した?くらいの大きな目がついている。首筋が小麦色に焼け、ひきしまった全身はどこかマラソンのランナーを連想させた。
「うん・・・、すご~く嫌な予感がする。」
「行きなさいよ・・・、男の子でしょ。」
「揺れるタクシーの秘密なんて、世界で一番解きたくない謎だよ。」
俺はとぼとぼとタクシーに向かって歩き出した。
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by travelers-high | 2007-12-03 22:45 | 幻想絵巻