当ブログはJ-WAVEの「GROOVE LINE」内でピストン西沢氏にごく一瞬紹介されました。まぁ素敵。


by travelers-high
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カテゴリ:「D2」( 9 )

カットたらこ

松島からメールがあった、仕事が忙しいようだが元気みたいで良かった。
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by travelers-high | 2006-05-09 07:01 | 「D2」

薫、お前のことだ。

「僕、ベッドの上では何もしないもん」

と性生活における自らのマグロっぷりを端的な言葉で俺にカミング・アウトした学生時代の友人の事を思い出した。あいつは今でもまだ何もしないままなのだろうか。
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by travelers-high | 2006-01-07 21:08 | 「D2」

プロローグ(5)

「うちでやるから、あとで来てね。あ、ついでにこのニラも切っといてもらえます?」
フサは敬語とタメ口を器用に使い分けながらニラの束をを袋から取り出しそばにある冷蔵庫の上に置いた、
「何のついでやねん。はいはい。刺身何があったの?」
袋を抱えて自分の部屋に戻るフサに聞いたが、マグロー!というでかい声が観光学術文化都市古都京都特有の底冷えがギンギンに効いた廊下に響いた。

刻んだニラをざるに入れてフサの九号室のドアを開けると、人工的に温められた空気に歓迎を受けた、わーい!エアコン効いてるー!感激ー!、家賃が二万二千円なのになぜか各部屋エアコン完備、太っ腹な大家だと思う。人間あらば使ってしまうものである、最初は電気代を気にしてケチケチ使っていたものだが、そのままズルズルと付けっぱなしにしてしまうまでそれ程長い時間は必要無い。
フサの部屋はあまり生活感がない、かといって特別キレイだというわけでもないのだが、他の言葉で彼の部屋を表現するには、アトリエという単語が似合う。部屋のコタツには既にカセットコンロがセットされており、コタツには既に三人の住人もセットされていた。ホリさんとミツと原田である。
「ねぇ、AZUさん。昔のファミコンってボタンが四角のやつありましたよね。」
「ああ、古い型のやつな、あれな、連打するとたまに角の部分が引っかかって押したボタンが戻ってこなかったりしたよな。」
一体何の話をしてるのかわからなかったが、形だけ微笑んで台所のフサに刻んだニラを渡した。
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by travelers-high | 2005-12-16 19:27 | 「D2」

プロローグ(4)

運良く受かった大学に何となく通い、出席が足りずに留年、退学。生活費を稼ぐ為だけのバイトを転々としながら、新時代の幕開けの日に去年の皿を今年洗っている。俺は何がしたいのだろう、俺は何がしたかったのだろう、俺はひたすらゴシゴシと皿を洗った。

冷たかった水が温かく感じ始める頃、表から聞きなれたカブの音がした、フサがダイエーから帰ってきたのだろう。「ただいまー!いやー、どいつもこいつもヒマだからって買い物きやがって、レジが長蛇の列、おっ、洗ってるねー!ザッツ・ラィーーッ!!」
この男の口癖は「that's right」、最初その雄叫びを聞いたときはビックリして尿がもれそうになったが、聞き慣れるとだんだんどうでもよくなる。
「今日は何鍋なん?」
「き・む・ちー、チゲッすよ、チゲ。ハムニダー!!」
この男は英語の他にハングルも使えるようだ。
「ハムニダーー!!あ、もう飲んでる、フライングですよー。ダメだなぁ。ラィーー!!うふー・・・。発泡酒か、たまには本物のキリンとか飲みたいっすよね、泡の立ち方が全然違いますよね、本物はー。でも仕方ないっすよね、高いですもんね、俺も飲も。」
フサは両手に下げたデカいサイズの買い物袋をドスッと床に下ろすと、ヤツにとっての右手側の袋からズシリと重みのあるロング缶を取り出し、嬉しそうな顔をしてタブを開けた。カブによる陸送の最中にだいぶ振られたと見えて、白い泡がフサの指から景気良く爆ぜる、二人でフライング、これから始まる鍋の楽しい予感を二人とも感じていた。
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by travelers-high | 2005-12-14 18:18 | 「D2」

プロローグ(3)

シャワーを浴び、冷気をはね返せる温まった体を楽しみながら冷蔵庫を開ける、グレイト!発泡酒のロング缶が出てきた。ぐびぐびぐび。さて、何かをしなければ・・・、そう、皿だ。厚く着込んで部屋のキッチンスペースに向かう、シンクの中は忘世紀会の後のままだ、忘世紀会はひどかった、前世紀中で最高の盛り上がりを見せた飲み会になった。そしてその名残が世紀を跨いでこのシンクに保存されているのだ、この時は手作り餃子大会だったので皿は全て油でギトギト、コップに溜まった水には凝固した豚油がプカプカ浮かび、その光景は地球環境の深刻なダメージと、このアパートの住人が飲酒により肝臓に受けている深刻なダメージを連想させた。
ゲル状の強力な洗剤で皿を片っ端から洗う、新世紀が始まった祈念すべき一日に前世紀の名残を洗い落とす、時代は変わっても俺は変わらないままだった。このシンクの中の皿みたいに何も収拾がつかないままだ。
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by travelers-high | 2005-12-13 20:44 | 「D2」

プロローグ(2)

カブ特有の小気味良いエンジン音を残してFUSAが出て行った。彼は板前を父に持つ味覚のサラブレッド、今日の鍋もきっと激ウマだろう。
さて、シャワーを浴びてスッキリするか。シャワーを浴びるといっても、家賃二万二千円の激安アパートの各部屋にバスルームなどという贅沢な設備などあるはずもない。この場合のシャワーとは、一階から二階へ上がる為の階段の下に無理矢理埋め込まれている、電話BOX程の大きさのシャワールームで浴びる有料のそれだ。このシャワールームが非常に厄介な代物なのだが、これについてはまた話す機会があるだろう。
ここは正式な名称を第二深草荘という築十ウン年を数える木造二階建てのボロアパートだ、俺たち住人はこの素敵なアパートを愛情たっぷりに「ダイニ」と呼んでいる。この昭和中期の雰囲気を漂わす集合住宅の内部は、人間の居住スペースとして六畳の和室が一階に五部屋、二階に五部屋の計十部屋、そして住人の共有財産とも言える共同の便所、共同の洗濯室、そして共同のシャワールームが我々の日常の営みを支えている。
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by travelers-high | 2005-12-12 19:57 | 「D2」

プロローグ

俺は地獄にいた。

「地獄」と言っても、「借金地獄」や「地獄のような日々」といった、生きながらの苦しみを比喩的に表現した地獄ではない。死後、閻魔裁判で有罪の評決を出された者のみが入場を許される、生前の罪を永遠の苦痛で償うところの鬼のワンダーランドの方のリアルな地獄だ。分かり辛く洒落て「逝き地獄」とでも言っておこう。

地獄の情景というのがまたすごい、火星でキャンプファイヤーをいくつもやっているような状態で、体が燃えるように熱い、俺は幼い頃浄土真宗系の幼稚園に通園していた、その幼稚園では隣接する寺で仏画などを園児に鑑賞させる教育も行っており、ここはそこで見せられた地獄絵の中の炎熱地獄にクリソツだ、つまりここは炎熱地獄なのだろう。俺は冷え性なので、まぁ炎熱地獄に堕とされたのは不幸中の幸いともいえる。しかし熱いはずだ、気が付くと石川五右衛門のように鉄鍋でグツグツと煮られているではないか。おっかしーなー、俺ってここまでされる程生きてる間にそんな悪いことしたっけなー?と途方に暮れていると、鍋の横に赤鬼が立っていた。その鬼と言うのが、節分豆のオマケについているお面のように、毛むくじゃらで角が二本立ってて、やけに想像通りのステレオタイプな赤鬼だったので、面白くてつい吹き出してしまうと、鬼はその悪の象徴である高いプライドを傷付けられた為か急に怒り出し、意味不明な事をわめきながら金棒でドついてきた。

「おきろー、おきろー。」(ドン、ドン)
「おきろー、おきろー。」(ドン、ドン)

いや、起きてますって、なんたって煮られてるんですよ、俺は。てゆうか俺を煮てるのは鬼であるあなたなワケだから、俺が起きてる事位わからなくはないですよね。

「おきろー、AZU-、おきろー」(ドン、ドン)

なんで地獄の鬼が俺のアダ名知ってるの?あ、俺の名前は石山東、東が名前なんだ、変わってるだろ?だいたいツレにはAZUって呼ばれてるんだ。あー、でも地獄にいるって事は俺は既に死んだってことだよね?つまりせっかく自己紹介したのにあんたには会えないわけだ、なんだ、残念だな。しかし、うるせえな、さっきからどんどんドつきやがって。

(ドン、ドン、ドン)

そんなに叩かなくっても最初からうちの戸に鍵なんかついてないですよーって、

戸?

その瞬間意識がもどった、俺はコタツのテーブルに突っ伏した体勢からガバッと上半身を起こした。そこは京都市伏見区にある安アパートの六畳一間の自分の部屋だった、じっとりと汗をかいている、鍋で煮られたのはコタツが最高温に設定されていたのでとても暑かったからのようだ。コタツの上では、コップに入ったままもう泡も出なくなったチューハイの水面が、俺の起こした振動で細かく波紋を刻んでいる、つまみに食った柿の種が袋から無残に飛び散り俺のケツの下で砕けていた。今日は徹夜バイトで帰りが早朝だった、帰り道コンビニで買った酒を朝飯代わりにコタツに入った状態で飲んで、どうやらそのまま寝てしまったらしい。

「AZU-、AZU-」

あー、うるさい。また鬼がわめいてる。開いてるっていってるだろ。俺はエッコラショとコタツから立ち上がると、シンクとガス台だけのキッチンスペースを横切り、木製の薄汚い引き戸をガラッと開けた。
「お、どこの鬼かと思えば10号室の村田さんじゃないですか。」
「は?鬼?何言ってんの?ま、いいや。あけましておめでとさん」
そうなのだ、今日は2000年の正月。めでたいミレニアムな日なのだ。
「あ、はい、あけましておめでとうございます。で、何ですか?俺は地獄で贖罪してたんだから、それを中断しなければならないほどなんだから、それなりにでかい用事じゃ無いと、ほら俺はちょっとアレしますよ」
この人はこのアパートの10号室の村田さん、北海の生まれで色白で毛深く
「さっきから何ブツブツ言ってんの?ま、いいや。初詣だよ、稲荷まで行こうぜ」
「えー、だって外なんかアホみたいに寒いじゃないですか、朝は雪がチラついてたんですよ?大体アレですよ、伏見稲荷っていうのは商売の神様って言うじゃないですか、関西一円からプロ根性もった商人が稲荷に大挙押し寄せて、それぞれがそれぞれに千客万来とかそういう身勝手な祈願をしてるんですよ?俺らみたいなフリーターがそんなとこに行ってちょちょっとお祈りしても相手にしてくれないですって。神様もそんなにヒマじゃないと思いますよ、所詮神様も客商売なんだから大口の顧客から処理していくんじゃないですか?」
「うるせえ、知らねえよそんなこと。ナンパだよ、関西一円から暇な金持ちの女が和服とか来て集まってんだぞ、行かねえわけにはいかねえだろよ。」
「あー、俺寒いのダメなんすよ。今起きたばっかだし・・・。悪いけど一人で行ってもらえませんか?俺バイト明けなんすよ。これから布団に入ってもう一回罪を償わなけりゃダメなんです、はい、被害者の為にも。」
「あー、ダメだ!人と話してる気がしない!もういい!FUSAと行く!一生寝てろ!この毒虫!不良品!」
ピシャリと戸が閉められた。
キッチンの小窓を空けて外を覗くと、どんよりとした黒い雲が空に重苦しく浮かんでいた、冷気が部屋に流れ込んでくる。村田さんとFUSAが稲荷でナンパか、あの組み合わせで何かうまくいった試しがないから、今回のナンパも只では終わるまい。窓を閉めて時計を見ると昼過ぎだ。さて、布団でちゃんと寝るか。おー、寒みぃ。

「AZUさーん、AZUさーん、鍋しませんかー、あけますよー」
ガラガラ

勝手に戸が開いてFUSAが入ってきた、開いた戸から廊下の蛍光灯の光が差し込んでFUSAの影を立体に見せる、部屋が真っ暗だ、夜になってるらしい。
「あれ、AZUまだ寝てんの?晩飯、鍋しません?今からダイエーに買出し行こうとと思って。」
ベッドに寝る俺を見下ろしながら、呑気な顔を暗闇に浮かべてFUSAが一方的にまくし立てた。
「うーん・・・、鍋・・・、か・・・、いいね・・・、そうしよう・・・、うん・・・。もう起きるわ、ちょっとシャワー行くかな。」
「あー、はい、ビールの他、なんかいる?チューハイとか。食いモンは刺身でも買ってきますよ。」
「そうね、氷結のライムも買ってきて。あと、じゃがりこのサラダ味も。」
「はいはい、了解。じゃ、行って来ますね、シャワー上がったらシンクにたまってる皿とかコップ、洗っといてね。」
「へーへー。ミツの原チャで行くんやろ?気ー付けてな。」
「はい、サンキューね。行ってきまー。」
ヤツはFUSA、9号室の住人だ。日本男児的な男前で頭も切れるが直感と激情で動く男、気持ちが盛り上がると自らの陰毛を焼いてみせる困ったナイスガイだ。
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by travelers-high | 2005-12-11 19:22 | 「D2」

神に似た女(1)

あんたは誰に似ている?

誰が言い出したのか、春は出会いと別れの季節らしい。確かに私が現在拠点としている南九州のMJ市でも公立の学校が一斉に卒業式を行った、「辛いこともあったけど、終わってみれば良い思い出だよね」とか「あの時諦めずに頑張って良かったね」とかそんなカタルシスで涙を流したりしているのではなかろうか?この際はっきり言わして頂こう。あなた達の涙はもっと価値のあるものだ、大人に作られた式などで流す程安いものではない。まだ何も始まっていないあなた達は、まだ涙を流すべきではないのだ。このまま今が永遠に続けば良いと思える程の、甘く切ない幸せな夜に出会うまで、そのゆるんだ涙腺をグッと閉めておいてくれ。

「D2」でも別れがある、一号室に住む松がとうとう出て行くようだ。彼は松竹梅の最高位を通り名とする「D2」屈指のおめでたいナイスガイの変態だ。彼が「D2」に越してきたのは、私が岐阜県のT村にあるDスキー場に住み込みのバイトをしていて、「D2」を留守にしていた時だった。そして現在、私は既に「D2」を出ている。つまり私は松を迎える事も送る事も出来ない訳だ、タイミングの問題とはいえやはり少し寂しさを感じる。

松は変な奴だ。ほとんどの部屋が出入り自由で、個人のプライバシーが滅茶苦茶に侵されるのが当たり前の「D2」において、、「ある程度の独立性」を松は1号室に確保した。また、仲間意識の強い我々が男塾のような付き合いをしていた中で、松は確実に一線を引いた。付かず離れずの最も難しい距離を保ち続けたのだ。しばらく顔を見ないなと思っていたら、急にシチューを作って持ってきたりする。耳に入ってくる松に関する情報も、おおむね唐突で具体性に欠けるものばかりだ。「彼女がいるらしい」「学校にあまり顔を出していないらしい」「どこかでバイトを始めたらしい」等。しかし松は私と一緒に関西のO市に住む私の実兄のJoの家に遊びに行ったりもしている。松は私の事を嫌いではないようだ。私は私を嫌いではない人間が嫌いではない。

松の行動は、いつもフラリとしている。フラリと現れていつの間にかいなくなっている。ブラッと街を流したり、フワッと浮き名を流したり。飄々と、という言葉が似合う。松の現れる所にはいつも風が吹いていた。私の知らない間に「D2」に現れて、やっぱりプイといなくなる。

話が長くなった、続きは来世で。
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by travelers-high | 2005-03-16 21:02 | 「D2」

屋号(1)

これは世直しです。

私は以前、関西のK市という古都に住んでいた。関西にはタコ焼き屋が非常に多い、K市も例外ではなく、有名無名を問わず様々なタコ焼き屋が存在している。私が住んでいた「D2」という名のアパートの近くにも「カリカリ博士」という屋号のタコ焼き屋があった。話題の性格上、タコ焼き屋は実名である。
そのタコ焼き屋のタコ焼きはうまくもまずくも無く、取り立てた特徴も無い、実に平凡なタコ焼きだった。私は同じ「D2」に住む友人達とフットサルチームを作っており、練習後よくその平凡なタコ焼きを皆で食べに行った。ビールセットが非常識にお値打ちで、平凡なタコ焼きを非凡な値段で出す、太って不細工でメガネのそのおばはんタコ焼き職人の顔を見るのが好きだった。本題はここからだ。

我々が「カリカリ博士」という屋号をどう呼んでいたかというと、「プロフェッサー・カリカリ」である。多分リーダー格のT氏がそう呼び始めて定着したのだろう。皆さんの中にはここで、おや?と思われた方もいるに違いない。そう、そうなのだ。「プロフェッサー・カリカリ」では「カリカリ教授」である。「博士」から「教授」へ転職させられているのである。「カリカリ博士」ならば、「Dr.カリカリ」が正解だったのだろう。

私と私の友人達は、社会人としての不可欠な要素のいくつか、若しくはその全てがごっそり欠落した人間で構成されている。当時、私と私の友人達は、それぞれの欠落した部分を、夢というパテで必死に埋めることで現実に対処しようとしていた。そして今、私と私の友人達は、それぞれの欠落した部分を、夢で必死に埋める作業の最中である。しかし、「プロフェッサー・カリカリ」に見られるように、我々は時に的外れでよく間違いを犯す。

続きは来世まで。
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by travelers-high | 2005-03-14 22:00 | 「D2」