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当ブログはJ-WAVEの「GROOVE LINE」内でピストン西沢氏にごく一瞬紹介されました。まぁ素敵。


by travelers-high
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神に似た女(1)

あんたは誰に似ている?

誰が言い出したのか、春は出会いと別れの季節らしい。確かに私が現在拠点としている南九州のMJ市でも公立の学校が一斉に卒業式を行った、「辛いこともあったけど、終わってみれば良い思い出だよね」とか「あの時諦めずに頑張って良かったね」とかそんなカタルシスで涙を流したりしているのではなかろうか?この際はっきり言わして頂こう。あなた達の涙はもっと価値のあるものだ、大人に作られた式などで流す程安いものではない。まだ何も始まっていないあなた達は、まだ涙を流すべきではないのだ。このまま今が永遠に続けば良いと思える程の、甘く切ない幸せな夜に出会うまで、そのゆるんだ涙腺をグッと閉めておいてくれ。

「D2」でも別れがある、一号室に住む松がとうとう出て行くようだ。彼は松竹梅の最高位を通り名とする「D2」屈指のおめでたいナイスガイの変態だ。彼が「D2」に越してきたのは、私が岐阜県のT村にあるDスキー場に住み込みのバイトをしていて、「D2」を留守にしていた時だった。そして現在、私は既に「D2」を出ている。つまり私は松を迎える事も送る事も出来ない訳だ、タイミングの問題とはいえやはり少し寂しさを感じる。

松は変な奴だ。ほとんどの部屋が出入り自由で、個人のプライバシーが滅茶苦茶に侵されるのが当たり前の「D2」において、、「ある程度の独立性」を松は1号室に確保した。また、仲間意識の強い我々が男塾のような付き合いをしていた中で、松は確実に一線を引いた。付かず離れずの最も難しい距離を保ち続けたのだ。しばらく顔を見ないなと思っていたら、急にシチューを作って持ってきたりする。耳に入ってくる松に関する情報も、おおむね唐突で具体性に欠けるものばかりだ。「彼女がいるらしい」「学校にあまり顔を出していないらしい」「どこかでバイトを始めたらしい」等。しかし松は私と一緒に関西のO市に住む私の実兄のJoの家に遊びに行ったりもしている。松は私の事を嫌いではないようだ。私は私を嫌いではない人間が嫌いではない。

松の行動は、いつもフラリとしている。フラリと現れていつの間にかいなくなっている。ブラッと街を流したり、フワッと浮き名を流したり。飄々と、という言葉が似合う。松の現れる所にはいつも風が吹いていた。私の知らない間に「D2」に現れて、やっぱりプイといなくなる。

話が長くなった、続きは来世で。
by travelers-high | 2005-03-16 21:02 | 「D2」