当ブログはJ-WAVEの「GROOVE LINE」内でピストン西沢氏にごく一瞬紹介されました。まぁ素敵。


by travelers-high
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日本メケメケ

最近ちょくちょく歯医者に行っている、別にそんなにひどい状態では無いのだが気になる歯が数本あったからだ。治療中の歯の中の一本は右の犬歯で、歯に入った小さな傷を放っておいたらそこから虫歯になってきたというものだが、件の小さな傷の原因となった事件というものがなんとも特殊な事情によるものだ。米の中に混じった小さな石をガリッと思い切り噛んでしまい歯の一部が欠損したのだ、歯こぼれとも言える。うわ、駄洒落言っちゃった。日本でスーパーに並んでいるような米などは、ほぼ完璧に異物は除去されている、本邦に於ける脱穀、精米の技術は恐らく世界に比類無きものであろう、温度、湿度、その他全ての要素をほぼパーフェクトに管理している、異物の除去に関しても当然最先端である。つまり日本で当たり前に米を食っていれば俺の右の犬歯は虫歯になることなど無くて済んだのだ。
つまりこういうことだ、俺の歯が欠けた場所は日本では無い、そう、ネパールだ。そこは忘れもしないネパールの首都カトマンズ、俺はその日の夕食を食べる為に宿泊している安宿から通りを挟んだ向かいにある安食堂へ足を運んだ。日はとっぷりと暮れ辺りは薄暗く、ヒマラヤ山脈を抱く国の都は高地にあり乾季でも夜は温度が下がる、乾燥した寒風が通りを吹き抜け道行くネパール人達は皆心持ち背中を丸めて歩いていた、電気料金が高いのか道の両側に建つ家の窓からもれる光は数えるほどで、その明かりも質の悪い裸電球の実に頼りないものだった。ネパールは物価が安く食い物も旨い、まぁ旨いといってもお隣のおインドに比べて若干日本人寄りの味がする、という程度のものなのだが、あと酒がおインドよりおおっぴらに飲めるとかそういった理由でバックパッカーにはネパールに沈没するのが結構多い。ネパールでポピュラーなメニューと言えばダルバートである、これは一枚のアルミで出来たプレートに米と豆カレーと得体の知れない副菜がいつか盛ってあるもので言わば定食である、これは特別うまいものでもない。俺が行ったそこの食堂は現地の人間が日常的に利用するような店なのでとにかく安い、ひたすらに安い、安いだけの現地の食い物をまずいまずいと思いながら食うのもバックッパッカー的マゾヒズムとして貧乏旅行者がよくやる娯楽である、その国の事が知りたければまず食い物から入るのが一番良いと思う、その国がダイレクトに五感を刺激してくれるからだ。
ヒンディー文化圏では食事の時に左手は使用不可となる、右手のみで食べなければならない、きまりなのだ。本当は道具を使わず指先のみで食べるのが普通なのだが、慣れない旅行者などには店が気を利かせてスプーンなどを付けてくれる。ネパール入りして間が無かったのでその時はまだ俺はスプーンを使っていた。
電球が情けない光を放つ低照度の店内で年季の入ったサリーをまとったおばちゃんにダルバートをオーダーした、本当はあまり食べたく無かったのだが旅を楽しむには体力が頼りなので食事を抜かないことにしていた。目の前に置かれたネパールの国民食、そいつを義務感のみで口に運ぶ、もうネパールがどんな国かとか結構どうでもよくなっていた、義務感だ、妙に粉っぽい味のする豆カレーをパサパサしたライスにぶっ掛けて勢いのみで食う、感情を、感性を、感覚を一時的に殺し、ただ食う、食う、食う。俺は今、食うマシーンだ、咀嚼ロボだ、地の果てまでも食ってやる。そんな感じでパクパク食って、大盛ライスが半分になる頃地獄の釜が突然カパッと開いた、アサリの砂を噛んだ時のジャリッという嫌な感触を四~五倍凶悪にした衝撃が顔面を襲ったのだ。ギャリッ!俺は反射的に口の中のものをプレートに吐き出していた、噛んだ辺りを舌で確認してみると右の犬歯に小さい亀裂のようなものが入っているのがわかった。悲しかった、というか半泣きだった。食事は感謝して美味しく食いやがれというネパール定食からのメッセージだったのかも知れない。
そういう傷が虫歯になって宮崎の歯医者で治療されているのである。虫歯・フロム・ヒマラヤである。虫歯・フィーチャリング・シヴァゴッドである。
本当はその歯医者の歯科助手のおねーちゃんが可愛いという記事を書きたかったのだが、脱線したまま書き疲れた、つーことでそのおねーちゃんの魅力についての話はまた今度。
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by travelers-high | 2006-04-06 22:17 | 火達磨旅日記