島へ(12)
2007年 12月 21日
大きな川が流れていた、金華川というらしい。
県道はこの先にある橋を渡ってさらに海沿いの道が続くようだ。
我々は橋の少し手前の交差点でタクシーを降ろされたのだが、なるほど県道と交差する通りにいくつかの赤提灯が下がっている。この島の盛り場のようだ。
キムラは我々を車から降ろしたあとに自分も外に出ると、我々を促すように川上方向への小路を歩き出した。
何となくその場の雰囲気でフラフラと着いていく、実は二人とも移動の疲労で体力的にキツくなっていて、もうあんまり物事を深く考えなくなっていた。
それでもみゆきが小声で、
「なんかワクワクしない?」
と言ってきた、心底この状況を楽しんでいるようだ。
キムラはいくつかの店をスルーした後に一軒のスナックの前で足を止めた。
「キッズ・リターン」とピンクの看板に書いてある、、もう既に客がいるのだろう、店のドアからカラオケの音がもれていた。
「この店のママは面倒見がいいし顔が広いから、色々相談に乗ってくれると思うよ。」
キムラはそう言うと制服のポケットから名刺を取り出し、
「俺はこの島でたった一人のタクシードライバーだ、どこかに行きたくなったら連絡してくれ。」
と、みゆきと俺に一枚ずつ名刺を渡した。
じゃあなと言ってキムラは背を向けると、薄暗い街灯と赤提灯に照らされた小さな盛り場に消えていった。
県道はこの先にある橋を渡ってさらに海沿いの道が続くようだ。
我々は橋の少し手前の交差点でタクシーを降ろされたのだが、なるほど県道と交差する通りにいくつかの赤提灯が下がっている。この島の盛り場のようだ。
キムラは我々を車から降ろしたあとに自分も外に出ると、我々を促すように川上方向への小路を歩き出した。
何となくその場の雰囲気でフラフラと着いていく、実は二人とも移動の疲労で体力的にキツくなっていて、もうあんまり物事を深く考えなくなっていた。
それでもみゆきが小声で、
「なんかワクワクしない?」
と言ってきた、心底この状況を楽しんでいるようだ。
キムラはいくつかの店をスルーした後に一軒のスナックの前で足を止めた。
「キッズ・リターン」とピンクの看板に書いてある、、もう既に客がいるのだろう、店のドアからカラオケの音がもれていた。
「この店のママは面倒見がいいし顔が広いから、色々相談に乗ってくれると思うよ。」
キムラはそう言うと制服のポケットから名刺を取り出し、
「俺はこの島でたった一人のタクシードライバーだ、どこかに行きたくなったら連絡してくれ。」
と、みゆきと俺に一枚ずつ名刺を渡した。
じゃあなと言ってキムラは背を向けると、薄暗い街灯と赤提灯に照らされた小さな盛り場に消えていった。
by travelers-high
| 2007-12-21 21:21
| 幻想絵巻